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統計不正が国の根幹を揺るがす犯罪になる国は似非民主主義国家です

最近は厚生労働省の統計不正が話題の様で、私は不思議に感じる。

神戸新聞NEXT|社説|ずさんな統計/民主主義の根幹に関わる
https://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201901/0011969710.shtml
確かに、統計不正は政権の判断には大きく影響するかもしれない。
しかし、特に今回の勤労調査や経済調査に限れば、「国民の判断」には殆ど影響しないはずだ。
言い換えれば、それら政権の存続・交代を左右する選挙に於いては、今回の不正の影響は少ないはずだ。

確かに、国民全員の経済や勤労状況は統計でしか知りえない。
ある政策Aで大半の国民の所得が向上するなら、政権はその政策Aを支持すべきだろう。
しかし国民個々の経済や勤労状況は、国民個々が一番熟知しているはずだ。
そして選挙で個々の一票に託されるのは、その票を投ずる個々の国民の意見であり、国民全員の意見ではない。
その政策Aの恩恵から漏れる国民の一人Bさんについては、たとえその政策Aが政権の支持すべき政策だとBさん自身が理解していたとしても、政策Aへ支持の一票を投ずるのは誤りだ。
Bさんの一票はBさん個人の意見を代表すべきで、国民全員の意見を代表するのは誤りであり、その投票行動に於いてBさんは国民全員の意見なんて無視すべきだ。
国民全員の意見は、開票結果の集計、選挙結果で得られれば十分だからだ。
個々の一票に託されるのが国民個々の都合であっても、その集計では、国民個々で相反する利害は打ち消し合い、国民全員に共通する意見のみが浮かび上がる。
もし、Bさんの意見ではなく全員の意見をBさんの一票に託したら、Bさんと相反する国民の意見が、打ち消されないまま反映され、「国民全員の意見」が歪められてしまう。
こうして誰も個々の我侭を投票し無かった結果が、誰の我侭も実現しない「アビリーンのパラドックス」だ。
アビリーンのパラドックス - Wikipedia
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%83%93%E3%83%AA%E3%83%BC%E3%83%B3%E3%81%AE%E3%83%91%E3%83%A9%E3%83%89%E3%83%83%E3%82%AF%E3%82%B9
このことは特定個人のBさんにとどまらない。
全ての国民は選挙時に、自分の意見を最優先すべきであり、国民全員の意見や統計など気にすべきではない。
選挙に於いて国民全員の統計なんて誰も気にしないのであれば、その統計が不正であろうと公正であろうと同じように、選挙は行われるはずだ。

あるいは選挙それ自身が、国民全員を対象とする統計の一種といえる。
選挙とは、個々の国民の政治的意見を集計したものだからだ。
個々の国民の○○状況を集計したものが○○統計ならば、選挙は政治的意見の統計だ。
だから、不正統計が別に行われていても、その統計に依存することなく独立して選挙は動く。
元々、比例代表制選挙制度で構成された議会は「国民の縮図」と言われる。
構成員の100%が議員職に就いているという凄まじく偏った構成であるにも拘らずだ。
正確には「国民の『政治的意見』の縮図」なのだが、そうであるためには、あたかも議員職なんて一度も経験した事のない彼らの支持者達を複製したかの様に、個々の議員は振る舞わねばならない。
だから「国民の複製の縮図」ともいえる。
もちろん、依然として複製は版元とは異なり、複製に富を配分しても版元は全く豊かにはならない。
しかし版元と同じ情報は持つから、複製に対して統計をとれば、版元の統計結果が得られる。
ならば、その元となる開票結果には、縮図にする前の国民の状態が複製されているはずだ。
そして比例代表制に限らず小選挙区制などに於いても選挙である以上、開票結果=国民の複製は集計されている。
つまり、比例代表制に限らず、選挙は統計のバックアップ機能を持つ。
マトモな民主主義国家ならばマトモな選挙が行われるはずで、統計不正単独では大した問題にはならないはずだ。

逆に言えば、統計不正が重大な問題になるということは、統計不正とは別に選挙の機能不全も存在することになる。
そして民主主義国家では、統計不正より選挙の機能不全の方が重要だ。
独裁国家でも統計調査をやっていることから分かるように、統計のバックアップは選挙でできても、選挙のバックアップは統計ではできない。
したがって、この国が民主主義国家を目指すのであれば、統計不正は話題にならない。
統計不正が大した問題でない場合は言うまでもない。
そうでない場合は、より重要な選挙の機能不全の話題に埋没するはずだからだ。

しかし先に述べたように、どうやら統計不正は話題になっているようだ。
このことは、選挙の機能不全が存在しながら、それが話題になっていないことを意味する。
これこそ、民主主義の根幹に関わる。

--- 題名のネタ元 ---
統計不正は民主主義の根幹を揺るがす犯罪です
https://anond.hatelabo.jp/20190206194752